天気の子感想
イリヤの空、UFOの夏とAIRとエヴァのマッシュアップして(菌糸類の極めてしょーもないヒーロー論への反論としての)プリズマ☆イリヤ化した映画。プリズマ☆イリヤの空、UFOの夏ってか。
セカイ系という悪質なサブカルクソ野郎どもからのラベリングに対し前々から控えめに嫌悪感を示していた新海誠であるからして、まあそりゃ世界を滅ぼしてでも(いや滅んでないけど)好きな女の子のほうが大事だろ!っていうもうとっくにナイーヴで無力な男の子モノの流行はこの結論と共に終わっているというのを新海誠がやっただけの映画である、がその結論は娯楽映画的にも極めて正しいのでちゃんと面白い、というやつ。境界の彼方とかあのへんと同じ手触り。龍の歯医者よりは面白い。特に神尾観鈴をメンヘラにしてその死を人身御供として自分の内面の浄化のために利用したりしないところが偉い。
比較対象として最適なアニメはOVA東京魔人學園剣風帖龖あたりだろうか。でもあっちの方がやってることは複雑だな。
無論いいとこのボンボン臭はいくら家出少年を描こうが貧乏姉妹物語みたいな親のいない家庭を描こうが猥雑なものを描いているつもりの歌舞伎町やヤクザを描こうが一向に拭い去れておらず、細田守や岡田麿里の描くアウトサイダーの物語と比べると切実さに欠けるのだけどこれはオタク向けの娯楽映画だと散りばめられた声優ネタやらボンパドールリーゼントの刑事やらが示していて目をつぶって大丈夫になっている。
無論日本のアニメーションはこの時点からとっくに先に進んでいるので、オタクは忘却の旋律とSTARDRIVER輝きのタクトと境界の彼方と学戦都市アスタリスクをちゃんと観ましょうね。あとToLOVEるダークネスも。