映画「シュガー・ラッシュ:オンライン」の感想

フェミニズムは積極的に推進されるべきだが俗悪表現は男だけのものではないし守られるべきであるという映画である。ズートピア作中でもはっきりとなされていたレイシズムに対しても攻撃的なSJWに対してもNOを突きつけるものの続き。

田舎の古びたレゲーだらけのアーケードからインターネットという都市に出て、都市のアンダーグラウンド面に心惹かれる若く聡明なアウトサイダー少女とキモくて金がなくて臭くて学がなくて保守的な田舎のおっさんの話。

シュガーラッシュのハンドルが壊れてウンタラカンタラで導入されたばかりのインターネットの世界に行き、ヴァネロペがスローターレースというソーシャルジャスティスウォーリアーどもにバッシングされまくってそうな暴力カーレースゲーに出会って心惹かれそこに転生する女の話なのだが古い田舎の環境に満足しているラルフが田舎の保守的なオッサンとSJWの役両方を押し付けられていて不憫であった。保守的な田舎の白人の貧しいオッサンと有害と部外者に判断されがちなゲームを子供から取り上げようとする連中の役割は分けるべきだったのではないか。いや連中の本質は同じものだと言われたら例えばネトウヨとネトフェミが自尊感情の損壊に基づき自分の定義を自分の属性にまで拡張して自分の属性に対し攻撃的だと勝手に判断した相手から受けているとする強烈な被害者意識から自分ではないものを攻撃しはじめるという点で同じだとは思うが、それでも田舎の環境の変化を望まない父権的な思考のオッサンに俗悪ゲーをバッシングする側まで背負わされてちょっと可哀想。最後の分裂増殖した自我を失ったゾンビみたいなラルフは気色悪い前近代的思考の差別的なお前らだし社会正義面して無限に自分の気に喰わないものをバッシングしているはてブにもいるお前らだというのはアイロニーとしてあまりにもわかりやすすぎてもうちょっとうまくできなかったのかという気にはなった。

ディズニープリンセスたちが被抑圧者であると同時に常識人のヴァネロペから見て悪い人たちじゃないけど全員どっか頭のネジが外れた異能力者集団として描かれるのはサイコーに面白かった。

ヴァネロペが何度も言うように「価値観はまるで違うが私たちは友達だ」と言える人はどのくらいいるか。田舎の保守的なオッサンの価値観を肯定あたりまでなら飲み込める人はまあ結構いるだろう。だがそれがたとえば他人に危害を加える事のないペドならどうか。この映画はペドの視点を排除することで成立しているのであって、ラルフがヴァネロペに対し性的サムシングを持っていない事ではじめて支配的な荒ぶる地母神としてのラルフの役割が成立するのでありしかしヴァネロペに対し恋愛感情があった場合を想定しないと本当の多様性など描けないしそこがディズニーの商業的限界。

 

シュガーラッシュと比較しらた紛れもなく駄作だがそもそもディズニーアニメなんてジュエルペットウィーツダンスプリンセスや∀ガンダムあたりと比べたらアナ雪だろうがなんだろうが極めて保守的な価値観に基づくカビの生えた駄作なのでまあそこはどうでもいい。